飛ぶ教室/ケストナー作
上級生は、すでにおとなの仲間で、ひそかに現実の女性に興味を示しだし、子ども同士で争ったり、悩んだりしている下級生たちを下に見て、困った連中だと思っています。
彼らは早くおとなになりたくて、上ばかりを見て、子どもの心を忘れかかっています。
しかし、それは彼らにとっては必要なことでもあります。
子ども時代から卒業しなければ、おとなになることはできません。
しかし、自分の道をとりだしたおとなは、逆に子どもたちに刺激されて、それぞれ別の道を歩くものの気持を理解します。
それはおとなが一人前の社会人として生きる中で、さらに大きく飛躍するために大切なことといえるでしょう。
つまり、ケストナーが述べているのは、子どもたちのイニシエーションの物語であると同時に、おとなにとっても、さらに大きな人間として充実した生活に入るための、イニシエーションの時なのです。
子どもによって、おとなが結ばれる話を好んで描くケストナーの作風は、ここからくるものでしょう。